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周南市/山口

本場のスタイルを踏襲しながら手掛ける
唯一無二のクラフトビール
「一杯で得られる満足感」を提供するために

周南市/山口

大空 和央_スカイホップブルーイング

2024.11.27

山口県周南市の醸造所「スカイホップブルーイング」。アメリカのスタイルを中心に本場の味を追求するブルワリーです。2022(令和4)年には伝統的なビアスタイルをうまく再現している点などを評価する「ジャパン・グレートビア・アワーズ」を受賞。手掛けた商品は味や香りが明らかに違うと多くのクラフトビールファンを唸らせています。

今回お話を伺ったのはスカイホップブルーイングの取締役工場長を務める大空和央さんです。もともと無類のビール好きでクラフトビールの奥深さを探究していましたが、いきなり自身が中心的役割を担い、クラフトビール事業を立ち上げることは考えていなかったといいます。そんな大空さんを突き動かしたのが同社の代表取締役である平川洋行さんなのだとか。二人の情熱から紡がれ始めたスカイホップブルーイングの物語を深掘りしました。

代表の平川さん(左)と工場長の大空さん(右)

ビールが好きというシンプルな思いが起点

一か国を選び自由な切り口で紹介するという大学の課題を機に、ドイツビールについて調べるようになったという大空さん。ソーセージと合わせて14種類ほどのビールを飲み比べるうち、その美味しさと奥深さに魅了されていった。その後、就職先のホテルにてビール祭りの開催を主導。同イベントに参加したブルワリーで働くこととなる。

大空さんはクラフトビールに携わるようになる前からビールに関する知見を深めていたという。個人会員として日本地ビール協会に入り、関連の資格まで取得していたというから驚きだ。実際にブルワリーで働き始めると、営業を担当しながら限定商品のレシピなども考案。クラフトビールにまつわる全工程をつぶさに見つめ続けた。

5年ほどの月日が経った2018(平成30)年のこと。宇部市で開催されたクラフトビールのイベントに参加し、のちに同志となる平川さんに出会う。その2年後に大空さんの退職が決まると、平川さんが「一緒にやろう。今すぐ動こう」と猛プッシュ。いつかは自分のクラフトビールを作ってみたいという漠とした思いを抱いていた大空さんを説得し、2020(令和2)年には共にスカイホップブルーイングを立ち上げるに至った。

設立当時のことを平川さんに伺うと、大空さんの知識や姿勢にほれ込み行動を起こしたと語ってくれた。かねてよりお酒やイベントの企画が好きで何か形にしたいと考えてはいたものの「彼がいなかったら、やっていないです」と言い切る。平川さん自身の熱意も凄まじく2021(令和3)年には商品の販売がスタート。スカイホップブルーイングはスピード感を持って歩み始めた。

平川さんの行動力がスカイホップブルーイングの起点

「本物」を目指すという覚悟

販売開始の翌年には出品した3種類の商品すべてがジャパン・グレートビア・アワーズの銀賞を受賞。絶対評価の全国的な審査会にて高い評価を受けた。興味を抱けば対象のすべてを知りたくなるタイプと自己分析する大空さん。理論的な理解が進むと「自分が表現したらどうなるのか」というところまで突き詰めたくなるというが、その情熱と探求心がスカイホップブルーイング設立後ほどなくして結実した形だ。

大空さんが手掛けるのは伝統的なスタイルを踏襲した王道に近いクラフトビール。既存のカテゴリーに準じながら、なおかつ自分らしさを追求しているという。本場の味やスタイルを伝える「本物」のクラフトビール作りを目指す。その考え方は平川さんも一致しており、スカイホップブルーイングは深くずっしりとした本格的な味わいのクラフトビールを提案し続けている。

他のクラフトビールと比較しても味の濃さや香りの強さが際立つというスカイホップブルーイングの商品。クラフトビールならではの一杯で得られる満足感を提供できるよう、大空さんが思いを込めて醸造している。社名を自身の名前にちなんだものにしている点にも大空さんの覚悟が見て取れる。「名前を入れたからには責任を持って自分自身が美味しいと思ったレシピで作りたいんです」と大空さんはいう。

大空さんの探究心がスカイホップブルーイングの礎

クラフトビール文化のすそ野を広げる

現在、スカイホップブルーイングが手掛ける定番の商品は6種類。5基のタンクを保有することから今後もこの6種類を軸に展開する予定だ。同時に季節に合わせた味など期間限定の商品も打ち出す。依頼を受けてOEM製品を手掛けるケースもあるという。

こだわりの商品は自社で企画したものも含めて各種イベントを通じても販売している。クラフトビールのイベントはもちろん地域の祭りなどにも参加するそうだ。訪れた人たちに「香りを体験してみませんか」という形で提案を行う。同業の仲間たちと共にクラフトビールに触れる機会を増やすことで「クラフトビールを語れる人たち」を増やしたいと大空さんは語る。一方の平川さんは持ち前の行動力で日本各地の飲食店へ足を運んでおり、その先でつながったご縁からスカイホップブルーイングの取扱店やコラボ先が増えることも少なくないのだとか。クラフトビール文化のすそ野を広げるべく二人のアクションは続く。

なお、スカイホップブルーイングの商品は公式オンラインショップを通じても買い求めることができる。定番商品すべてを堪能できる「おまかせ!6本セット」もラインナップされている。スカイホップブルーイングならではのこだわりは共通しつつも違いが分かるように選定したという6種類のクラフトビール。是非飲み比べを楽しみたい。

定番の6種類はいずれも深い味わいを堪能できる

終わりなきスカイホップブルーイングの進化

設立後まもなくコロナ禍が起こるなど苦境に立たされたこともあったが、着実にファンを増やしているスカイホップブルーイングのクラフトビール。販売開始の翌年に賞に輝いていることも、大空さんの確かな知識と商品の美味しさの証といえるだろう。しかしながら、大空さんが現状に満足することはない。「原料も製造工程も進化しているし、いまだに新しいスタイルがどんどん出てきている。それに追いつけ追い越せで、ずっとやっていかないと」と前を向く。いくら突き詰めても終わりはない。だからこそ、今の自分が持てる最大のパワーを出しながら日々取り組んでいるという。

今後のビジョンについて伺うと、まずは手掛けた商品をより広く定着させたいとの言葉が返ってきた。いつかはクラフトビール事業と相乗効果を生むであろう飲食店をやりたいという思いもあるが、そのためにもスカイホップブルーイングのブランドイメージを高めることが肝要と意気込む。しっかりと先を見据えながらイベントなどでも多くの人たちとコミュニケーションを図り、他にはない唯一無二の味わいを提案し続けていく。大空さんの飽くなき探求心がクラフトビールの更なる可能性を照らす。

※記事内ではクラフトビールと表記していますが、販売している商品は酒税法上の区分としては発泡酒です。

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