新下関駅から車で北に15分ほどの場所にある「うついブルワリー」。緑豊かな下関市内日(うつい)地区の山間でオリジナルクラフトビール「VACAN CRAFT(バカンクラフト)」を醸造しています。運営するのは地域に根差した福祉サービスを実践する「社会福祉法人 内日福祉会」。ビールの主原料である「ホップ」を自家栽培して一部の商品に加えるなど、栽培・醸造・販売をワンストップで手掛けることで、障がいがある方たちの作業・やりがいの創出に寄与しています。

うついブルワリーは2023(令和5)年6月にオープンしました。それまでは県外で委託醸造が行われていましたが、ブルワリー(醸造所)のオープンによって内日産のVACAN CRAFTが完成した形です。醸造設備の横にはこだわりの味を堪能できる開放的なタップルームも。さまざまな可能性を感じるブルワリーの今後の展望について、醸造責任者を務める友村栄幸さんに伺いました。

飲み比べも楽しめる山間の醸造所

ビール瓶を思わせる鮮やかな色味が目を引くうついブルワリー。内日の田園風景に映える外観ながら、赤褐色が特徴的な周囲の石州瓦にうまく馴染んでいる様子が印象的だ。壁には大きく掲げられた「Utsui Brewery」の文字。その右手で醸造が行われており、左手がタップルームとなっている。

大きな窓を備えたタップルームは広々とした作り。最大8つのタップから各種VACAN CRAFTや、醸造を学んだ和歌山のブルワリーから取り寄せたゲストビールなどが注がれる。好みのクラフトビールが選べる「3種飲み比べセット」も用意。醸造の場を眺めながらクラフトビールの醍醐味である飲み比べを楽しむことができる。現在はクラフトビールの提供だけにとどまっているが、地産地消が感じられるおつまみを準備する計画もあるそうだ。

コミュニケーションの場として

うついブルワリーは開放的な空間に広い駐車場も備えている。通常営業に加えて各種イベントも開催されており、初めて顔を合わせた人たちがクラフトビールを片手に語り合うにぎわいの場としても機能しているという。すっきりして飲みやすいと評判のVACAN CRAFTを求めて足しげく通うファンの方もいるそうだ。

今後はブルワリーを「新しいものが生まれる場所」としてさらに活用していきたいという友村さん。声が掛かればイベントスペースとして貸し出すことも検討している。人が集まる場所には新たな価値が創出されていく。「うついブルワリーが地域を盛り立てる一助になれば」との展望を語ってくれた。

各種情報をSNSにて発信中

現在うついブルワリーは土曜日の11:00～15:00をベースに月3回ほど営業している。前月までに具体的な予定が決まり、InstagramやFacebookを通じての告知とブルワリーへの貼り出しが行われているそうだ。不定期に振舞われる限定クラフトビールの情報などもSNSにて随時発信中。現地を訪れる際には必ずチェックしたい。

今後より活用の幅が広がっていくであろう、うついブルワリー。登場時より種類を増やし続けているVACAN CRAFTと共に、その展開から目が離せない。