大切なあの人に感謝を伝える
付加価値を高めた
心にとまる花ギフトを届けたい
大切なあの人に感謝を伝える
付加価値を高めた
心にとまる花ギフトを届けたい
柳井市/山口
2025.02.05
山口県の南東部、室津半島の東岸から付け根に位置する柳井市。付け根の東側に広がる中山間地域では野菜やみかんなどが、西側では花きやイチゴ、自然薯などが栽培されています。
そんな柳井市の西側、のどかな雰囲気の自然豊かな地に一際目立つ現代的な建物があります。株式会社アデリーの本社社屋です。アデリーは1972(昭和47)年に創業したギフトの総合プロデュースカンパニー。ギフト商品の企画開発、物流、販売までを一手に手掛けています。
また2020(令和2)年には、グループ会社である株式会社ホシファームも設立。柳井市内にある約3700坪の農園で、バラ、カーネーション、胡蝶蘭を栽培し、市場に出荷。さらに自社のフラッグショップ「ギャラリー&ギフト アド」や自社ECサイト、JR西日本の産直オンラインショップ「DWモール」などで、消費者に直接販売もしています。咲く過程をご自宅で楽しめるように最適なタイミングで出荷されるバラや、花とお菓子のセットアップギフトなど、ギフトのプロデュース経験を生かした花ギフトは、多くのお客様から好評を得ているそうです。
現在、売り上げも好調なホシファーム。しかし設立から今日までの道のりは「決して平坦なものではなかった」と代表取締役社長の小野典子さん、ホシファームGr責任者の萩原晶子さんはおっしゃいます。お2人に、ホシファームのあゆみと今後の展望についてお聞きしました。
アデリー社内にて小野社長(左)と萩原さん(右)
アデリーが花農園事業を開始したのは2020(令和2)年のこと。柳井市内にあった、単一生産者として国内第3位の広さを有していたバラ農園の廃業がきっかけだった。美しく咲き誇っていたバラが枯れていく様子を目の当たりにした小野さんは、自社でなんとか農園を引き継げないかと考えた。花農園事業は未経験の分野だったが、バラはギフトとして贈られるものでもある。ギフトの総合プロデュースという、アデリーが長年取り組んでいる事業との親和性は高いと感じた。そこで思い切って半分の土地である約3700坪を購入し、ホシファームを設立したのだ。
花農園事業を開始するためには、花の生産管理をするスタッフが必要。幸いにも廃業したバラ農園で働いていた、バラ栽培歴約30年のベテラン2人が中核スタッフとして加わることとなった。問題は、2人の元で作業に従事するスタッフの雇用。目をつけたのは65歳以上のシニアスタッフだった。「ちょうどアデリーでも、65歳以上の働き方について考えていたところでした」と小野さん。定年退職を迎えた社員を送り出す中で、これからも仕事をしたいと考えるシニアは多いのではないかと感じていたそう。そこで65歳以上に限定したシニアスタッフの募集を開始してみたのだ。
反響は小野さんたちの予想を超えるものとなった。問い合わせの電話が相次ぎ、50通近くもの履歴書が届いたという。そこから十数名のシニアスタッフを迎え、ホシファームは本格的に走り出すこととなった。
さまざまな人が活躍するホシファームのバラ農園
スタッフも揃い、順調な滑り出しを切ったかに思われたホシファーム。しかし実際に生産したバラを販売する段になると、大きな壁に突き当たる。小野さんたちの期待に反して、売れ行きが芳しくなかったのだ。
原因は市場のミスマッチ。ホシファームでは生産した花を、長年アデリーがギフトを卸してきた雑貨店などに卸していた。花もギフトであるため、市場はマッチしていると小野さんたちは考えていたからだ。しかし生き物である花を、専門店の花屋ではなく雑貨店に買いに来るお客様はほとんどいなかった。「餅は餅屋と言いますが、花は花屋なんですよね」と小野さんは当時を振り返る。
現状を打開する方法は2つ考えられた。1つは、販売先を新規開拓すること。もう1つは、既存の雑貨店などにわざわざ足を運んででも買いたくなるよう、バラの付加価値を高めること。小野さんたちはどちらも取り組むことに。前者についてはWebサイトで花を扱う会社と取引を開始。後者については頭を悩ませた末、「花き日持ち品質管理認証」を取得することにした。
「花き日持ち品質管理認証」は、花きの日持ち性向上対策がなされている生産者などに与えられる認証だ。一般的な花屋に並ぶ花は生産者が採花した後、市場を経由したもの。採花から花屋に並ぶまで1週間程度経過しているため、家に持ち帰ってから長く楽しめる花が少ないのが現状。一方、「花き日持ち品質管理認証」を取得したホシファームのバラは、基本的には5分咲程度の状態でお客様の手元に届く。咲いていく過程や、花びらが開いた美しい状態を長く楽しめるのだ。
こうした付加価値の提供などにより、ホシファームのバラの売れ行きは好調に。現在では12品種を基本に、年間30万本を生産するまでに至っている。
5分咲き程度で届く、ホシファームのバラ
付加価値の提供は花そのものだけでなく、ギフトの形状やお届け方法にも見られる。その1つがお菓子とのセットアップ。バラのブーケに、パウンドケーキ、ドーナツ、クッキーなどがセットになっている。お菓子はアデリーが展開するホシフルーツのものから、銀座千疋屋やウェッジウッド、ホテルオークラといった有名ブランドのものまでさまざま。お花を貰った後の大切なひとときを、より充実したものにしてくれそうだ。
これらの花ギフトは、花の模様とホシファームのロゴが施されたギフトボックスに入れて届けられる。無地のダンボールではなく、ギフトボックスに入れてお届けすることで、目にした瞬間からお客様に喜んでもらえるようにしているという。受け取った瞬間の、「わあっ!」という喜びや感動も大切にしているのだ。
贈られた瞬間から、その後のひとときまで演出できるのは、ギフトのプロデュースをしてきたからこそ。長年の経験による着眼点で、本当に喜ばれる花ギフトの提供を目指している。
付加価値を高め、選ばれる花ギフトに
ホシファームでは切りバラの他に、鉢植えのカーネーションやミニ胡蝶蘭も生産している。このうちカーネーションは年間1 万1000鉢を生産し、お客様からの評価も年々高まってきているという。今後はこのカーネーションについても「花き環境認証」や「生産工程管理認証」を取得し、ますます付加価値を高めていきたいと考えているそう。
またホシファーム全体としては、花きの生産者をバックアップする取り組みにも挑戦していきたいという。近年、物価や人件費などの高騰により苦しい思いをしている生産者は多い。そうした生産者に対して、こだわってつくった花を周知する取り組みや、物流のサポートなどをしていきたいそう。同じ花きの生産者として、一緒に業界を高めていきたいと考えているという。
「物日だけでなく、日頃から花ギフトを贈っていただきたいです。花ギフトは『モノ』ではなく『コト』だとも言われます。心にとまるギフトになってくれるはずなので、日頃の感謝を伝える際にも利用していただければ嬉しいです」と萩原さん。
長く楽しめるホシファームのバラは、大切な方の心にもしっかりとまってくれるはず。感謝の気持ちを込めて、大切なあの人に贈ってみてはいかがだろうか。
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